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2021年12月 冬の薬膳 宮崎県の郷土食

目からウロコの調理学

冬の薬膳 宮崎県の郷土食

(1)宮崎県とは

 宮﨑県は「日の出るほうに向かって」いるので「日向の国」と呼ばれてきました。宮崎といえば神話のふるさとであり、とくに高千穂は神話の聖地であり、天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫が地上に降り立ったという「天孫降臨神話」と「岩戸神話」があり、信仰の中心は高千穂神社と天岩戸神社といわれています。
 この地の伝統行事に夜神楽(よかぐら)があり、11月末から2月上旬までに祭りが開催され、岩戸神話にちなんだ舞も奉納されると、ご縁の深い本学の教員であった黒木先生にお聞きしたことがあります。その時、高千穂神楽面を一ついただきました。神様の思いを伝える神聖な面は私の自分の心のあり方で見え方が異なるのです。神秘的というか不思議です。
 宮﨑との出会いは小学校3年生、「フェニックス(不死鳥)」という植物が日南海岸にあるので見たいと言って、母と弟と3人で出かけました。太陽の光を浴びて育ったフェニックスの木々はスラッと高く、凛々しく、南国だ!!異国だ!!と思い、我が家にも植えました。それから5年後、昭和41年に宮崎県のシンボルの木となっています。
 そして高校2年生の時、教育キャンプの登山コースで高千穂峰から霧島まで歩きました。足が棒になり、死にそうにきつかった事、霧島の温泉に感動して癒された事は、今でも心に残っています。
 平成27年度、日本調理科学会九州支部学会が宮崎大学教育学部の調理科学科の先生のご尽力により、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾートで開催されました。本学とご縁のある宮崎県庁の農政部の竹田氏に、宮崎の食材について講話をしていただきました。伝統野菜も沢山ある中、全国に誇るNo1の食材も教えてくれました。「キンカン」「日向夏」「きゅうり」「サトイモ」「鶏肉・ブロイラー」「近海かつお一本釣り」「チョウザメとキャビア」、そして沢山の賞を受賞した「宮崎牛」など、宮崎の美しい自然の中で豊かに育った食材が沢山あることに気づかせてくれました。
 フェニックスの日南海岸を横に油津へ進みますと京屋酒造があり、本格焼酎を味わう事ができ、やみつきになります。代表取締役の渡邉氏に魅力を聴かせていただきましたが、NHK朝の連続テレビ小説「わかば」のロケが行われていた蔵でした。飫肥城下町を食文化探訪しますと、伝統的な「おび天」、厚焼き卵のようなスイーツ、もち米と砂糖だけで作る飫肥せんぺいなど、伝統の味をたくさん楽しむことができます。是非、宮崎の旅を!!

(2)宮崎の郷土の薬膳

1)日向かぼちゃの煮物

宮崎県の農政部の竹田氏が伝統野菜「日向かぼちゃ」に力を入れて紹介してくれましたが、日向かぼちゃはなんと宮崎市で初めて栽培された代表的なブランド野菜だったのです。
日本料理の高級食材として、日向黒皮かぼちゃは有名でした。
皮をむかず、煮汁がなくなるまで調理しますので、栄養分は全部いただける簡単一品です。ポイントは、最初にバターを少し入れますと、風味がとても良いです。好みでいりこやかつおぶしを入れるとより美味しくなります。

2)せん切り大根のまだか漬け

今回、時短、美味しいヘルシーな漬け物として紹介します。 「切り干し大根」のことを宮崎では「千切り大根」といって、宮崎県では全国的に生産量も高いと聞いています。11月末から2月の大根が収穫される時、大根を洗って千切り後、強い日差しで干して作ります。調理をするとき、宮崎県の人たちは炒り大豆やスルメ、昆布など家庭にある保存食を入れて味に変化をつけて美味しく味わっています。しかし高齢者の方には少しかたいと思いましたので、同じ食材を出汁で煮るとご飯が進む「おかず」になります。
 私流の切り干し大根の作り方を紹介いたします。大根は皮も入れ千切りします。
福岡で作るとカラカラの状態になるには10日以上かかります。熱湯で1分ゆでて干すと水分が飛び、4~5日で乾燥できます。

3)宮崎のとり飯

九州の各県でとり飯は行事のある時やお祝いの時には必ず作られていました。
今日では日常の家庭料理として食卓によく登場しています。宮崎県は特に鶏のプロイラーの羽数が多く生産量も高く、平成30年には全国1位だったそうです。
特に10年前ご当地グルメコンテストで優勝され、脚光を浴びたこともあり、宮崎県の各家庭において我が家のとり飯は母の味として継承されています。
食材は鶏肉とシイタケそして各季節の食材を2cm程度に切って使用します。鶏のイノシン酸、シイタケのグルタミン酸が、味の相乗効果で美味しさを増してくれます。是非、新米で調理してみて下さい。

4)チキン南蛮

チキン南蛮は宮崎の郷土料理の定番料理といわれ、老若男女を問わず、皆の大好きな料理です。実は私は食べた事がなく、5店舗の料理を味わいました。各店での唐辛子入りの甘酢タレやタルタルソースの食材が異なり、まさに家庭の味なのかと思いました。私流にアレンジしたものを紹介します。チキン南蛮は延岡市が発祥地で淡白な鶏肉で元々食感のよい胸肉でしたが、今はもも肉が多いとのことです。需要と供給の量から、胸肉はもも肉に比べて値段が安く、低脂肪で高タンパク質であり、アミノ酸のバランスがよい食材です。特に胸肉特有の成分「イミダゾール・ペプチド」が含まれており、疲労回復効果と抗酸化作用が期待されています。この胸肉は栄養的機能的ですばらしいのです。そのまま食べるとパサパサしたテクスチャーですが、甘酢に漬けて作られるため、甘酢が吸われてテクスチャーが変わり、タルタルソースを添えることでマヨネーズの油脂とタルタルの食材で香りもよく、より美味しくなるのです。延岡市のロンドン洋食店で働いていた後藤直シェフと甲斐義光シェフが開発され、南蛮酢に漬けたのでチキン南蛮と名前がついたそうです。この味が楽しめるのは御二人のおかげですので感謝しかありませんね。 延岡市では2017年7月8日に「南蛮の日」として日本記念日協会から正式に認められました。

5)宮崎のチーズまんじゅう

宮崎の郷土のお菓子はおもちやさつま芋を使った伝統的なものが多くあります。中村学園大学薬膳科学研究所が、不二製油様とプラントベースフードを使用したメニューとして、米粉と大豆チーズを使用したチーズまんじゅうを開発しましたので紹介します。これを小麦粉とチーズで作ってもOKです。

一陽来復の健康学:新型コロナウイルス感染症に対する追加予防接種について

 現在、日本では新型コロナウイルス感染症は下火になっていますが、欧米ではデルタ型の新型コロナウイルス感染症感染が多発しています。その原因としては、①デルタ型の感染力の増大、②ワクチンによる免疫力の低下、③デルタ型の免疫回避能力の増大などが考えられています。デルタ型にはいくつかの種類があり、日本のデルタ型は欧米で流行しているデルタ型と異なる種類といわれ、このため欧米のように流行していないと推測されています。しかし、欧米で流行しているデルタ型が日本に入るのは時間の問題と考えられます。世界で最も早くワクチン接種を始めたイスラエルでは、2回目のワクチン接種から6か月経つと免疫力が大きく衰えることが疫学調査で判明しています。つまり、ワクチンによる免疫力の低下を防ぐには2回目接種から6か月以内に3回目の接種を受けることが重要となります。イスラエルでは、2回目接種から6か月以内に3回目の接種を受けた人と受けていない人のその後の新型コロナウイルス感染症の発症や重症化について調査を行い、その結果を公表しています。それによりますと、2回目接種から6か月以内に3回目の摂取を受けた人は受けていない人に比べ、3回目接種以降に感染が確認された割合は11倍低く、重症化した割合は20倍低い結果でした。つまり、2回目接種から6か月以内に3回目の接種を受けることで感染を防ぎ、重症化を抑える大きな効果があることがわかりました。しかし、日本では2回目接種から8か月経った人を対象に3回目接種を考えているようで、これでは冬の大流行がきた場合、予防効果や重症化効果は大きな期待はできないかもしれません。現在できる対策は、できるだけ早く3回目の予防接種を開始することです。

参考資料
1) N Engl J Med 2021;385:1393-400.DOI: 10.1056/NEJMoa2114255
2) https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.08.24.21262423v1. opens in new tab
3) https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.07.29.21261317v1. opens in new tab

健康一口メモ

  • 野菜を食べて、足の筋力を強くしましょう

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  • 乳製品でカルシウム摂取量を増やして骨折予防

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  • コロナ禍でも、できるだけ屋外にでることでストレスが和らぎます

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