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2022年7月 7月の家庭の薬膳

目からウロコの調理学

7月の家庭の薬膳

はじめに
私が生まれた年に確か公開されたSingin‘in the Rain 「雨に唄えば」のミユージカル映画。ジーン・ケリが雨の中で主題歌を歌いながらタップダンスを踊る場面が大好きで、嬉しい事を表現するには雨の中が最高だと、タップダンスの靴も購入していますが、まだ一歩も進めていません。
今年は異例な速さで梅雨が明けそうで、雨がないと唄えないし踊れない?とにかく、水不足が心配ですね。また熱中症の予防が不可欠で危機管理を。
7月7日頃が二十四節気の小暑で暑さが徐々に強まっていき、7月27日頃が大暑で1年で一番暑さが厳しい時、この1か月が暑中だそうです。
暑中お見舞いを出す期間は、母親から梅雨が明けて立秋(今年は8月7日)までと言われていたことを思い出しています。とにかく健康管理しながら夏を乗り越えましょう。

1.夏の薬膳

夏季特有の自然条件は「暑」です。暑さが強すぎると暑邪となり、ヒトの体調は乱れた状態になり、抵抗力も落ちるといわれます。予防の夏の薬膳で重要な事は、「清熱」で寒性や涼性の食材が効果的だと言われています。
陽気が盛んになる季節は夏の旬の食材を食べる事をお勧めします。西瓜(スイカ)、胡瓜(キュウリ)、南瓜(カボチャ)、茄子、など積極的に調理して食べましょう。夏野菜は水分も多くビタミンやミネラルも多く補給できます。また夏は食欲不振や体力の消耗が激しいため胃腸機能も低下しますので、脾や胃経に入る鰻、蜂蜜、大棗、豆腐など栄養豊富な食材が理想的です。先日鹿児島へ出張し大隅半島の鰻、また鹿児島市の下福元町の美鶴の鰻に舌鼓。遠赤外線効果の炭火焼きで皮は香り良くパリッと中はソフトでジューシーで脂の乗りも抜群でした。

2.夏にお勧めな豚肉

夏の特有な体のだるさや疲労感その回復効果が期待できるビタミンB。豚肉にはたんぱく質やビタミンB1が豊富に含まれ、特に豚肉の赤身やヒレがお勧め。ビタミンB1は糖質やアルコールの代謝にも必要です。またビタミンの吸収を高めるためにはネギやニンニクなどツーンとくる香味成分のアリシンを含む食材と一緒に調理して食べる事が重要。この香りが食欲も促してくれるので、一石二鳥です。
今月は豚肉と夏野菜をタップリ使用した料理3品紹介いたします。

1)夏野菜と豚モモ肉を使用した酢豚
2)高菜と豚肉を使用した簡単美しいスープ
3)豚肉の加工食品のハムと夏野菜のビーフン

3.豚肉の調理科学

色の変化

x肉の色はミオグロビン(肉色素)とヘモグロビン(血色素)と呼ばれる鉄を含む色素たんぱく質です。新鮮な肉のミオグロビンは暗赤色をしていますが、空気中の酸素に触れるとオキシミオグロビンとなり鮮赤色になります。空気中に長く放置すると酸化されて暗褐色のメトミオグロビンになります。お肉は空気にふれないようにしっかりラップに包んで冷蔵または冷凍してください。加熱するとグロビンの変性とヘム鉄の酸化により灰赤色のメトミオクロモーゲンとなります。しかし、ハムのように生肉に亜硝酸塩処理すると、亜硝酸塩と鉄が結合してニトロソミオグロビンとなり加熱しても変色はせずハムのピンク色は保たれるのです。

肉の風味と食味

豚肉を高温で加熱すると、たんぱく質や脂肪が分解して揮発性のアルデヒド、アルコール、ケトン、有機酸が生じてよい香りがでるのです。また調理中に食品中のアミノ化合物とカルボニル化合物が反応して着色アミノカルボニル反応(メイラード)が起こり、良い香りや好ましい色を生じます。着色化合物のメラノイジンを形成して褐変するのです。
食味は肉が加熱するとたんぱく質の凝固と収縮により肉汁と旨味成分が溶出してうま味が強く感じられるのです。また加熱により結合組織が破壊されて脂肪が溶出するとまろやかな触感を与えてくれます。

肉の軟化方法

1)機械的方法:筋を切断したり肉たたきでたたくと筋繊維間の結合がほぐれます。
2)酵素の利用:たんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)を含むパイナップル、キウイーフルーツ、パパイヤ、イチジク、ナシ、生姜、玉ねぎのすりおろしや絞り汁につけると肉の軟化と臭み抜きの効果があります。
3)調味料の利用:肉たんぱく質の等電点(pH5,5-6,0)から遠ざけるために酸性かアルカリ性にして保水性を向上させます。醤油、味噌、清酒、マリネ、重曹液など。
4)長時間の水煮:長時間加熱することでコラーゲンがゼラチン化して筋細胞がほぐれます。

4.今月の献立

1)夏野菜香りビーフン

ビーフンの美味しい調理方法は、茹でずに沸騰した湯に入れて、火を止めて蓋をして5-6分余熱で蒸して水洗いしてザルに上げておきます。再度炒めるので大丈夫。野菜は歯ざわりを楽しむためにセロリーやキュウリも千切りしてタップリ入れてください。

2)夏野菜たっぷり酢豚

野菜は色よく歯ざわりよく調理するために、1口サイズ12-15gの乱切りに切り、フライパンに油を入れてサーッと油の中を通すだけで大丈夫。
豚肉も同じサイズに切って、生姜、酒、醤油につけて軟らかくして片栗粉を付けて油できつね色に揚げるとまさにアミノカルボニル反応で色よく香り良い状態になります。パイナップルを器にして夏らしく仕上げています。

3)高菜と豚肉のスープ

中国ではザーツアイや塩漬の青菜と豚肉の二つの食材に水を入れて簡に美味しく作る家庭料理です。そろそろ日本では高菜漬けが出来上がる季節です。二つの食材をできるだけ細く千切りに調理してください。
私は生姜やネギの千切りとお酒を入れて夏薬膳に。

4)烏龍茶ミルクゼリー

上海サントリーの石川社長に香港返還の前の年に出会い、ビール工場でできたばかりの飲料を購入して、上海花園オオクラホテルで日本企業のリーダーや留学生とテ―ブルマナーの食事会をしました。フインガーボールの中身は烏龍茶でした。
中国では明の時代から烏龍茶は健康に良く、脂っこい料理を食べたら熱い烏龍茶を飲用、それが中国の常識でした。それを冷たい飲み物に変えたのが三得利(サントリー)だと上海の友人は教えてくれ、中国福建から名誉茶師認定された烏龍茶一筋に研究を重ねられたサントリーの松井氏にも出会えました。今回冷たく冷やした烏龍茶を利用して簡単ゼリーを試作。とてもすっきり美味でした。

是非、簡単夏の薬膳料理に挑戦してください。

一陽来復の健康学:今後のコロナ

 新型コロナウイルス感染症の流行は少し収まっているようですが、福岡県は数百名の患者さんが毎日でています。ワクチ接種の効果は、3回目の接種後数か月で減少することがわかっているため、予防戦略として、ハイリスク者(高齢者や高度免疫不全者)に対するmRNAワクチンの4回目の接種が米国では提案されています。日本でも、厚生労働省が3回目接種を受けた方などは摂取から5か月以上が経過した下記の方が4回目の接種対象となっています。a)60歳以上の方、またはb)18歳以上60歳未満で、①基礎疾患を有する方や、②その他新型コロナウイルス感染症にかかった場合の重症化リスクが高いと医師が認める方です。ワクチン接種の目的は、重症化から守ることであり、すべての感染症を防ぐことはできません。ワクチンとともに、予防法として重要なのがマスクです。しかし、暑い夏がやってきました。厚生労働省は高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるとして次のように注意喚起しています。a) 体調に応じて、屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすようにしましょう。b) マスクを着用する場合には、強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給を心がけましょう。
 新型コロナウイルス感染症は完全に根絶されることがないと報告されています。そのためコロナのある生活に適応し続け、地域社会での感染率が低い場合は予防措置を緩和し、感染が増加すると緩和を中止するといったことを今後も繰り返すことがあることを心に留めておきましょう。

健康一口メモ

  • 運動は時間帯によって効果がちがう

    運動は時間帯によって効果がちがう

  • 歩くことは膝を守るかもしれません

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  • ドコサヘキサエン酸(DHA)は認知症の発症を抑える

    ドコサヘキサエン酸(DHA)は認知症の発症を抑える