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2019年7月 夏の薬膳 山椒料理

山椒は日本のハーブ

 好きなハーブと聞かれたら、「山椒」だと即答する。福岡県の上毛町で産まれた私は田舎育ちで、家の庭には山椒の木が植えられ、4~5月は山椒の若葉は木の芽として、6~7月は実山椒、11月には熟した実を粉にした粉山椒を作って季節の家庭料理を楽しませてくれた。特に山椒の木は固いため、“すりばち”とセットで使う“すりこぎ”に最適であり、香りもかすかにあるためおすすめ。

 春の家庭料理で印象的だったのは「筍の木の芽和え」で、山椒の木の芽が出る頃に筍が旬を迎え相性は抜群、また味噌とも相性がよく、「木の芽味噌」は豆腐やこんにゃく、里芋などの上にのせて焼くと香りも増してより美味しくなる。味噌に砂糖、酒を入れて練り味噌にして木の芽を入れて仕上げると簡単、美味しい春の一品料理となる。また、春の代表的な行事食に欠かせない「ちらし寿司」と「貝の吸い物」は木の芽が不可欠。山椒の美しい緑色と香りは食欲も促し、さわやかな香りを楽しむ木の芽は、手のひらにのせて、空気を入れてパチンと風圧でたたくと油包とよばれる細胞組織が壊れて精油成分が飛び出して香りが強くなる。さわやかな香りはシトロネラ―ルで、柑橘系の香りとよく似ている。しびれるようなピリッと刺激的な辛味成分はサンショオール。

 辛味といえば、別府湾で漁獲され、ちりめんを加工して作られたちりめんじゃこに醤油、砂糖、酒を入れて実山椒を入れた山椒ちりめんは夏の食欲のない時のお茶漬けに欠かせない佃煮。辛いためか山椒は「Japanese pepper」といわれているが胡椒とは別ものである。春先に花が咲き夏に実がなり、実山椒は青いまま収穫されるので辛味も香りも強いため、個々人の好みにあわせて加熱時間を変える。青山椒は鍋に水を入れ沸騰して5~10分加熱後水にさらして使用する。加熱と水さらしの時間が香りと辛味に変化をあたえる。シーズンには青山椒を買いだめして冷凍すると1年中使用できる。山椒は魚の煮物、肉料理の臭みを抑え、味にもアクセントをつけてくれる。山椒を粉にした粉山椒は、うなぎの蒲焼など脂の多い魚や肉料理をサッパリと美味しくしてくれる。

 また、夏の飲料として炭酸や乳酸菌入りの飲料と相性が良いため、山椒を入れたドリンクはひとくち口に入れるとピリッシャキッと元気になる。山椒は日本の万能七味唐辛子(唐辛子、青のり、粉山椒、麻の実、陳皮、胡麻、紫蘇)に使われている。山椒は刺激が強いので食べ過ぎは注意が必要!!

日本の薬草と健康:山椒

 中華料理の麻婆豆腐をご存知の方は多いと思います。この料理は中国四川省の省都、成都の郷土料理で、陳麻婆豆腐といわれています。その意味は、陳というおばあさんが作ったしびれるような辛さ(麻の意味)の豆腐料理ということです。麻には、麻疹の後遺症で陳おばあさんの顔にあばたがあったという意味もあるといわれていますが。この麻婆豆腐に使われているのが中国原産の花椒です。日本原産のものは山椒といいます。山椒は果実とともに、若葉、花、木の芽、幹の皮などを使われますが、中国の花椒は果皮のみを使用します。
 成都は亜熱帯性の湿潤な気候で、湿度が大変高い土地です。このような気候が麻婆豆腐を生んだと思われます。山椒や花椒には燥湿(湿を取り除く)、散寒止痛(寒さによる痛みを取る)などの機能があります。湿度が高い気候では体内に湿が溜まりやすくなり、体調を崩す要因となります。そのため、湿度の高い土地では燥湿の機能がある食材を食べて体内の湿を除くことが大切です。日本では土用のうなぎで山椒が使われていますが、日本の夏の高温多湿の季節にはもってこいの薬味となります。

  • 朝に運動しましょう

     朝の運動が認知機能に良い影響があることを示したオーストラリアの報告です。対象は、肥満者の高齢者67名です。無作為に次の3つのグループに分けました。①座位群:8時間ずっと座っている、②歩行群:朝にまず1時間座位で過ごした後、30分間中強度のウォーキングをし、その後6.5時間座る、③歩行+休憩群:朝にまず1時間座位で過ごした後、30分間中強度のウォーキングをし、その後6.5時間は座位だが、30分ごとに3分間の休憩を設け低強度のウォーキングを行う。これらの対象者について、認知機能や集中力、意思決定、実行力、視覚的学習やワーキングメモリー(課題を解くために必要な作業記憶)をテストし、かつ血清中の脳由来神経栄養因子(神経細胞の発生や成長、維持や再生を促す物質)を測定しました。その結果、座位群に比べ歩行+ブレイク群がワーキングメモリーで高い点数を示しました。実行力については座位群と比較して歩行群が高い点数でした。脳由来神経栄養因子は歩行群、歩行+ブレイク群ともに高い値を示しました。以上から、認知機能の低下を防ぐには、1日中ずっと座らずに、適度な運動を行うことが重要であることが示唆されました。

    British Journal of Sports Medicine Published Online First: 29 April 2019

  • 立ち食いソバはまずくてもOK?

     食べるときの姿勢が味や食べ物の温度の感じ方に影響するという米国の研究です。350人を対象に、同じものを立って食べた人と座って食べた人でおいしさにどのような違いがあるのかを検討したところ、椅子に座って食べた人より立って食べた人の方がおいしく感じないことが判明しました。また、甘いものと塩入りのものの2種のブラウニー(チョコレートケーキ)を順に食べてもらいました。塩入りのブラウニーは通常美味しくないのですが、立って食べた人は塩入りブラウニーは嫌いでなく、美味しいと判断した人が座って食べた人たちよりも多い結果でした。この理由として、数分間の立ち姿勢が身体的ストレスを引き起こし、味蕾(舌の味覚センサー)の感受性を低下させることがわかりました。立ち姿勢では、重力で血液が身体の下部に行きやすいため、心臓がより活発に動いて心拍数を上昇させ血液を身体の上部に運びます。そのため視床下部-下垂体-副腎系を活性化し、知覚をにぶくするとのことです。また同じ温度のコーヒーを飲んでも、立って飲んだ人の方が熱さを感じにくく、飲む量も少ない傾向がありました。立つことで身体的ストレスが引き起こされ、食欲が抑えられるようです。以上から、立って食べると美味しさをあまり感じないようになるようです。また食欲が低下するため、立って食べることはダイエットにつながるかもしれません。

    Journal of Consumer Research, ucz018, https://doi.org/10.1093/jcr/ucz018

  • 子どもが嫌いな食べ物を食べるようになるには

    子どもは嫌な食べ物でも、「これを食べると足が速くなる」など子どもの心に響く言葉をかけながら提供すると食べるようになるという米国の研究です。対象は3から5歳児の87人で、ます実験開始前に子どもたちの好き嫌いを調べるために、ピーマン(野菜類)、トマト(野菜類)、キヌア(穀類)、レンズ豆(たんぱく源)について、好きなものから順番をつけてもらいました。そして順番が一番低かったものと2番目に低かったものを子どもに提供しました。その時に、1つの食品は提供する際にはその食品の利点についての話かけを行い、もう1つの食品は、単に「食べて」とだけ言いました。これを6週間継続しました。その後、子どもたちが各食品を摂取した量について、試験前・試験直後・試験終了後1か月時点で測定したところ、試験前と直後では差はありませんでした。ところが、試験終了後1か月時点では話かけをした食べ物は、そうしなかった食べ物に比べて2倍多く食べるようになっていました。以上から、食べ物を魅力的なものと思わせる言葉かけを我慢強く行うことで、子どもは嫌いな食べ物を食べるようになるようです。

    Nutrition Education and Behavior, Volume 51, Issue 5, Pages 519–527,2019